宇宙人が乗ってきたUFOが日本のお菓子ばかうけに似てると話題にもなった映画メッセージ。
エイミー・アダムス&ジェレミー・レナー共演のSFヒューマンドラマで、英語原題はArrival 原作は著者テッド・チャンによる『あなたの人生の物語』だ。
日本でも劇場公開された他アマゾンプライムもしくはDVD、Netflix(ネットフリックス)などで視聴可能だ。
UFOはいったい地球に何をしにやってきたのか?
時系列はどうなっているのか?
最後の妻の言葉(中国語)は何と言っているのか?
などなど意味不明に思う部分も多くあるかもしれない。
何度か動画を再生して視聴していくうちに、より深い考察ができてくるように思う。
この映画はもともと中国系アメリカ人であるテッド・チャンによる小説から来ているのでそちらを読んでみるのもいいと思う。
ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督が日本向けの公式メッセージで「UFOは日本のばかうけからインスピレーションを得ているよ~♪」なんてジョークを言うものだから、ついついお笑い的な面白さで見てしまうが、映画内容は当然?シリアス路線なので割と頭をフル回転させておいたほうがいい。
メッセージあらすじ
突如地上に降り立った巨大な宇宙船。謎の知的生命体と意思の疎通をはかるために軍に雇われた言語学者のルイーズ(エイミー・アダムス)は、物理学者イアン(ジェレミー・レナー)とともに、“彼ら”が人類に何を伝えようとしているのかを探っていく。そして、その言語の謎が解けたとき、彼らが地球にやってきた驚くべき真相と、人類に向けた美しくもせつないラストメッセージが明らかになる――
キャスト&監督&吹き替え声優
filmtv.com
ルイーズ・バンクス=エイミー・アダムス 声優:中村千絵
イアン・ドネリー=ジェレミー・レナー 声優:加瀬康之
ウェバー大佐=フォレスト・ウィテカー 声優:立木文彦
ハルペーン捜査官= マイケル・スタールバーグ 声優:石原辰己
マークス大尉= マーク・オブライエン 声優:川原元幸
シャン上将=ツィ・マー 声優:堀越富三郎
エイミー・アダムスといえば『魔法にかけられて』で一気に売れっ子スターの仲間入りをしたわけで、どちらかというと可愛らしい顔つきもあってシリアスは向かなさそう?なイメージもあったが、この映画ではかなり良い演技していたと思う。
ばかうけ、もとい宇宙船に最初に乗り込んでいくあの緊張感や浅い息使いといい、こちらまで息苦しくなるような錯覚に。
ジェレミー・レナーは作品選びが上手いと思う。
アクションもサスペンスもこなせるマルチなタイプで俳優としてこれからもかなり伸びしろが広がっているなぁと。
ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督はカナダ出身だけれど名前の通りフランス系だね。カナダのケベック州出身ということで、あぁやっぱりそうかと。
最近だとボーダーライン、ブレードランナが記憶に新しい。
メッセージ感想
rottentomatoes.com
地球の危機に際して大抵呼び出されるのが何かしらの学者や博士たちってのはあるあるだよな~。
今作の主人公ルイーズは言語学者でマルチに言語を操れるばかりか、ストレス耐性も強く、まさに打ってつけの存在。
UFOに乗ってきた宇宙人ヘプタポッドとの地道なやり取りは非常に面白く、言語が人間を人間たらしめたという考えが全面に現れていたと思う。
ジャンル的にSFヒューマンドラマという括りが一番しっくりくる。
中国系の作者が原作なので中国の活躍が凄いのはちょっと苦笑だけれども(笑)
地球にやってきた12隻の1つが日本の北海道に上陸したっていうのはもっと笑った。
北海道大丈夫か!!(笑)
この作品は世界各国の関係性や国民性もよく表してたな~。
強気で好戦的な中国とロシア。とかね。
通信をギリギリまで切らず様子見してからのアメリカの通信遮断後にすぐログアウト!な行動とる日本なんてのも、すっごいわかりやすい。
こういうやり取りを楽しむのもありな作品だったと思う。
それと鳥籠の鳥ね。
サンドラ・ブロック主演のnetflixドラマ、バードボックスでもそうだけど鳥と実験的にそばに置いておくのってあるあるですね。
言語と時の流れ
メッセージのポイントは『言語と時』
言語については割と主人公が説明しているのでわかりやすいと思うけど、時間の概念は難しい点もあったかな。
人間にとって『時は流れるもの』であって、過去現在未来へと進んでいくというのが我々の頭で想像できる限界なわけだけど、実はそうじゃないよ~っていうね。
時というのは始まりも終わりもなく、過去と現在と未来は同時期に発生しているという理論。
ループしているというかヘプタポッドが使用している文字もサークル状なので、これも時の概念が現れているよね。
thirillist.com
ルイーズの娘ハンナの名前もどちらから読んでもハンナになるというのも素敵だ。
Hannah、たしかにどちらから読んでも同じ。時の概念と同じなのだ。
宇宙人の目的と3000年後の未来
imdb.com
宇宙人が地球にやってきた目的は3000年後に人類の助けが必要になるからで、ルイーズは未来を見るうえで重要な人物。
武器は言葉であり、その言葉っていうのが宇宙人との交流を可能にし、そして待ち構える未来において必要になってくる重要な道具/ツールとなる。
だから言語学者として優秀なルイーズがヘプタポッドとコミュニケーションを図っていくんですね。
未来ではルイーズはヘプタポッド語の本を出版しているので、他の人間たちも彼女の論文などからヘプタポッド語を習得できるようになるわけだ。
そうして3000年後(宇宙人とっては明日か今日、数時間後の現在のようなもの)に助け合えるという構図。
ルイーズの娘と未来
ルイーズが見ていた未来と思しき場面の謎の娘はルイーズが人間にとっての未来で産む実の子供。
ルイーズの夫であり娘の父親は最後に明かされるけれど皆察しがついている、そうイアン博士なのです。
nofilmschool.com
娘は残念ながら稀な難病にかかり若くして命を落とす運命が待ってるんだけれど、それを承知の上で、ルイーズはイアンと結婚して子供を産む。
イアンはルイーズがこれからやってくる悲しい未来を知ったうえで子を産んだLouiseに対して怒りを覚えているし、同時に哀しさに心がついていかず、家を出ていってしまう。
そこまでのシナリオが見えていながらもルイーズは同じ選択をするっていう、なんとも強い女性だ。
妻の最後の言葉(中国語/マンダリン)
そしてやっぱり気になるのは中国のシャン将軍に電話で伝えた中国語。
彼の『妻の最後の言葉』ってマンダリンで字幕がないから意味不明。
でも海外評価サイトだとか口コミを見ると、あれって意味があるのだと判明。
General,there are no winners in war, only widows and orphans.
とマンダリンで伝えるのだ。
日本語訳にすると、『将軍、戦争において勝者などないのです。あるのは未亡人と孤児だけ』
なるほどねー。
これ、主演のエイミー・アダムスが流暢な中国語を話しているな~と思いきや、彼女は撮影で何を喋っているのかわからず、ほぼデタラメっぽいとのこと。
この映画を見た中国人もGeneral、つまり将軍というセリフだけは聞き取れるけれど他は全く理解できないとのこと(笑)
その辺は適当だったんだな(笑)
監督、なんでそんな詰めの甘いことを??(笑)
なんにせよ、なかなか面白い映画でした。
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